2014年5月6日火曜日

偏っていた日本の「ナイチンゲ-ル像」

皆さまは「ナイチンゲール誓詞」をご存じでしょうか?そうです。「われはここに集いたる人々の前に

厳かに神に誓わん」という出だしで始まる厳粛なる替詞です。二十年ほど前までの看護学生は誰で

も、この笹詞を暗記し、繰り返し繰り返し唱え、看護への道の厳しさを思ったものでした。その頃は

まだ、「ナイチンゲール替詞」は当然、ナイチンゲールが創ったものと信じられておりました。

ところが「ナイチンゲール替詞」は、ナイチンゲールの偉業を讃えて、一八九三年にアメリカ、

デトロイト市で作られたものです。しかもそれは、かの「ヒポクラテス替詞」にならつて編さ

れたものだったのです。

「ナイチンゲール誓詞」には、いくつかの訳が存在しますが、それを誰が訳したのか、どのょう

な意図で日本に持ち込まれたものなのかという点に関しては、正確な事実を知ることはできませ

ん。ただ、この替詞は第二次世界大戦の後、日本がアメリヵの占領下におかれ、GHQの指導の

もとで日本の看護界が再編成されていく過程の中で、戴帽式と共に入ってきたことだけは確かな

ことのようです。

そして日本の大部分の看護婦たちは、長い間「ナイチンゲール替詞Jの中にナイチンゲールの

面影を見いだし、その誓詞の教えを胸に刻んで、看護の道を直走ったに違いないのです。そのこ

とだけを考えても、日本におけるナイチンゲール像は、なぜか看護教育の中で不可解に歪んで語

りつがれていたことがわかるのです。

しかしこの二十年の歩みを通して、ナイチンゲールの素顔は次第にクッキリとその輪郭を現わ

してきています。もはや歪められ、誤解されて教えられることはないでしょう。ナイチンゲール

の一生は、まさに十九世紀という激動の時代を生きぬいた、卓越した女性のそれであり、また看

護を発見し、看護職を誕生させた極めて特異な生涯といえます。


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