看護師を続けていく以上、患者さんに対する寛大さを育てつづける必要はありますが、なかには
それほど苦労しなくとも、もとから堪忍袋が大きい人もいるんですよね。私がどんなに努力して
も、彼女の自然さには絶対かなわない。この不平等(?)はどうしようもないものです。
その後私も年を重ねて、患者さんに対するネガティブな見方も、多少はコントロールできるよう
になってきました。堪忍袋そのもののサイズは大して変わってませんが、それでも患者さんに対す
るネガティブな見方をコントロールできる場面が増えたのは、私にとっては大きな進歩です。
私が患者さんに対して多少寛大になったのは、三つの理由からだと思います。
ひとつは、一緒に働く仲間に、さっぱり愚痴を言えるようになったこと。これもときには言いす
ぎて自分が嫌になることもありますけど、吹き出す思いを膨らまないうちに打ち明けることで、自
分の気持ちがこじれずにすむことが増えました。
二つ目は、患者さんに対してうまく自分の気持ちが伝えられるようになったこと。これは以前か
ら私が心がけていたことではあるんですけど、〈患者さんも人間ならば看護師も人間。ある程度の
ことは言い合って当たり前〉と肩に力が入っているぶん、無用の摩擦を起こす傾向もありました。
それがいまでは、本当にされて嫌なことをされたときには、理屈抜き、覚悟なしに、「やめてくだ
さい」「そういうことを言われると傷ついてしまう」と、やわらかく伝えられる。このとき大事な
のはユーモア、かな。伝えたところで相手が変わってくれなくても、伝えたという事実だけで、気
持ちの出口ができるんです。
そして三つ目が、患者さんに対して素直に同情できるようになったこと。実はこれが、最近私に
起こった大きな心境の変化であり、ケアする者としての自分にとって、かなり根幹にかかわる変化
だった気がするのです。
このご時世も自分がしたいことができない環境は多いと思います。
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