フロレンスの生活は、絶えず多くの親戚や友人たちに取り囲まれていました。ファニイは十人
兄妹でしたし、その十人が若い頃から揃いも揃ってみな歓楽的催しが大好きで、疲れを知らずに
舞踏に興じ、宴会や行楽にでかけ、室内遊戯に熱中するといった有様でしたから、かれらは人一
倍強い一族意識のもとに、それぞれの結婚後も精力的に交際を続けていました。フロレンスが十
四歳の頃には、二十七人のいとこたちと、二十人にも及ぶおじやおばがおり、さらに祖母の兄弟
姉妹が、その子供や孫ともども加わり、互いに便りをかわし合い、訪問し、こまごまとした相談
をし合うといった具合で、日々息のつく暇もない忙しさの中に暮らしていました。
ところがフロレンスは、こうした生活に満足できず、どこか他の人たちとは違った感じ方をし
ていたところがありました。彼女はすでに六?にして、自分はエムブリイやリハーストの裕福で
安穏な生活に嫌気がさしていたと記しており、日常やりとりする手紙や相談の数々に、耐えられ
ない苦痛を感じ、少女時代には、
「何かきちんとした職業か、価値ある仕事がしたくてたまらなかった」と書いています。
こうした家庭環境の中で、ファニイは四十?をすぎ、もう子供が生まれる徴候はなくなりました。
もしこのままナイチンゲール家に男の子がなかったら、大叔父からの財産は、ウイリアムの
妹の長男が引き継ぐことになっていたのです。ウイリアムの妹、メイはファニイの弟、サム?ス
ミスと結婚し、一八三一年に男の子を生みました。このメイ叔母の息子、
ショアはナイチンゲール家では特別な地位が与えられました。
フロレンスにとってもショアは生涯で最も大切な人間の1人となりました。
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